股関節の痛み
股関節の痛み
股関節は、体重を支えながら「歩く」「階段を昇る」「立ち上がる」といった日常の基本動作を支える非常に重要な関節です。股関節に痛みが生じると、移動が困難になるだけでなく、腰や膝など他の部位にも負担が広がり、生活の質が大きく低下してしまいます。「脚の付け根が痛む」「歩き始めに違和感がある」といった症状は、骨の変形や血流障害のサインかもしれません。当院では痛みの原因を詳しく調査し、適切な治療を提供いたします。

股関節の表面を覆っている滑らかな軟骨がすり減り、骨同士が直接ぶつかり合って炎症が起きている状態です。進行すると骨が変形し、トゲのような「骨棘(こつきょく)」ができたり、関節の隙間がなくなったりして、股関節がスムーズに動かなくなります。
日本では、生まれつき股関節の受け皿が浅い「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」が背景にあるケースが圧倒的に多いです。若い頃は筋肉でカバーできていても、加齢に伴う筋力低下や体重増加によって軟骨への負担が限界を超え、40代〜50代以降に発症しやすくなります。
レントゲン検査を行い、軟骨の隙間がどのくらいあるか、骨の変形がどの程度進んでいるかを確認します。骨の内部の状態や、軟骨の摩耗具合をより精密に調べるためにMRI検査を行うこともあります。
まずは消炎鎮痛剤や湿布で炎症を抑えます。最も重要なのがリハビリテーションで、股関節を支えるお尻の筋肉(中殿筋など)を鍛え、関節への負担を分散させます。また、杖の使用や体重管理の指導も行います。痛みが強く、日常生活に著しい支障がある場合は、人工股関節置換術などの手術を検討します。

太ももの骨の先端、関節の球体部分である「大腿骨頭」への血流が途絶え、骨の組織が死んで(壊死して)しまう病気です。壊死した骨自体が痛むのではなく、壊死して脆くなった部分が体重を支えきれずに潰れてしまう(圧潰)ことで、激しい痛みが生じます。
はっきりとした原因は不明な点も多いですが、ステロイド薬を大量に使用した経験がある方や、アルコールを多量に摂取する習慣がある方に多く発症する傾向があります。これらに該当しない「特発性」の場合もあり、国の指定難病にも登録されています。
初期段階ではレントゲンに異常が出ないことが多いため、早期発見にはMRI検査が不可欠です。MRIでは、骨が壊死している範囲や場所を非常に感度良く捉えることができます。
壊死の範囲が狭く、骨が潰れるリスクが低い場合は、痛み止めを使いながら定期的な経過観察を行います。骨の崩壊が進んでいる場合や痛みが強い場合は、自分の骨を生かす「骨切り術」や、関節を入れ替える「人工股関節置換術」といった手術療法が検討されます。

太ももの骨の、股関節に近い部分(付け根)が折れてしまった状態です。折れる場所によって「大腿骨頚部骨折(けいぶこっせつ)」と「大腿骨転子部骨折(てんしぶこっせつ)」に分かれます。非常に強い痛みがあり、基本的には歩行が全くできなくなります。
多くは高齢の方が転倒し、横向きに尻もちをついたり、付け根を直接打ちつけたりすることで起こります。骨粗鬆症によって骨が脆くなっている場合、わずかな段差でのつまずきや、ベッドからの転落といった軽い衝撃でも簡単に折れてしまうことがあります。
まずはレントゲン検査で骨折の有無と場所を確認します。骨折が不完全でレントゲンでは判別が難しい場合は、CT検査やMRI検査を行い、隠れた骨折がないかを精密に診断します。
この部位の骨折は、安静による自然治癒が難しく、放置すると寝たきりになるリスクが非常に高いため、多くの場合で早期の手術が選択されます。骨を金属のネジやプレートで固定する術式や、人工の関節に置き換える術式が行われます。術後は早期からリハビリを開始し、歩行機能の維持を目指します。
股関節の不調は、歩き方に直接影響を与えるため、放置すると膝や腰の痛みまで引き起こす「負の連鎖」を招くことがあります。「年だから歩きにくいのは仕方ない」と諦めず、まずは整形外科専門医にご相談ください。最新の知見に基づいたリハビリと治療で、皆様の健やかな毎日をサポートいたします。
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