肘関節の痛み
肘関節の痛み
肘は「投げる」「持つ」「ひねる」といった日常の複雑な動作を支える関節です。そのため、スポーツや仕事での酷使によって痛みが出やすく、放置すると握力の低下や指先のしびれにつながることもあります。当院では、痛みの原因を特定し、日常生活や競技への早期復帰を目指した治療を行います。

肘の関節を覆っている軟骨がすり減り、骨同士が直接ぶつかり合っている状態です。骨の端に「骨棘(こつきょく)」というトゲのような突起ができたり、剥がれた骨の破片が「関節ねずみ(関節遊離体)」となって関節の中に挟まったりすることで、痛みや動きの制限が生じます。
長年の酷使が主な原因です。大工仕事などの肉体労働、あるいは過去に野球やテニスなどのスポーツを長期間続けていた方に多く見られます。また、過去の肘の骨折や脱臼といった怪我が原因で、数十年後に変形が進むこともあります。
レントゲン検査を行い、骨の隙間が狭くなっていないか、トゲのような骨の変形がないかを確認します。関節の中に「関節ねずみ」が隠れていないか、CT検査でより詳しく調べることもあります。
痛みが強い時期は、薬や湿布で炎症を抑えます。リハビリでは、肘周りの筋肉を柔軟にし、関節への負担を減らすトレーニングを行います。もし「関節ねずみ」が挟まって急に肘が動かなくなる(ロッキング症状)がある場合は、内視鏡による手術を検討することもあります。

肘の内側を通る「尺骨神経(しゃっこつしんけい)」が、圧迫されたり引き伸ばされたりして障害が起きている状態です。この神経は小指の感覚や、指を閉じたり開いたりする筋肉を司っているため、指のしびれや筋力低下が起こります。
加齢による骨の変形、子供の頃の骨折による肘の変形(外反肘)、長時間の肘を曲げた姿勢の継続、あるいはガングリオンなどの腫瘤による圧迫が原因となります。
感覚の異常や筋力の低下を詳しくチェックします。レントゲンで骨の突出がないかを確認し、超音波(エコー)検査で神経が圧迫されている様子をリアルタイムで診断します。神経の伝達速度を調べる検査を行うこともあります。
まずは肘を深く曲げる動作を避け、神経への負担を減らします。ビタミンB12などの神経の修復を助ける薬を内服することもあります。しびれが強く、筋肉の痩せが進行している場合には、神経の圧迫を取り除く手術が必要になるケースがあります。

手首をそらせる動作(バックハンドの動作など)に使う筋肉の付け根が、肘の外側で炎症を起こしたり、微細な断裂を生じたりしている状態です。テニス愛好家に多いためこう呼ばれますが、日常生活でも頻繁に起こります。
手首の使いすぎが原因です。テニスだけでなく、パソコン操作、重い鍋を持つ料理、庭仕事、雑巾絞りなど、手首を頻繁に使う動作の繰り返しによって、筋肉の付け根に過度なストレスがかかることで発症します。
特定の動作(手首をそらせる、指を伸ばすなど)に対して、抵抗をかけたときに痛みが出るかを確認するテストを行います。超音波(エコー)検査で、筋肉の付け根の状態を確認することも有効です。
まずは手首を休めることが大切です。テニス肘専用のバンド(エルボーバンド)を装着して負担を軽減します。リハビリでは前腕のストレッチを行い、筋肉の柔軟性を取り戻します。難治性の場合は、注射療法や体外衝撃波療法などを検討することもあります。

投球動作の繰り返しによって肘に過度な力が加わり、靭帯、軟骨、骨などが損傷する状態の総称です。内側が痛むもの(内側型)が多く見られますが、外側が痛むもの(外側型)は軟骨が剥がれる重症なケースがあるため注意が必要です。
「投げすぎ(オーバーユース)」が最大の原因です。不適切な投球フォームや、肩や股関節の柔軟性不足によって、肘への負担が集中することで起こります。特に成長期のお子様は骨が柔らかいため、損傷しやすい傾向にあります。
レントゲン検査で骨の異常(剥離や成長線の開き)を確認します。超音波(エコー)検査は、靭帯の緩みや軟骨の状態をその場で確認できるため非常に有効です。必要に応じてMRI検査を行い、深部の損傷を調べます。
一定期間の投球制限(休止)が不可欠です。その間にリハビリを行い、肩・股関節の柔軟性向上や体幹強化を行い、「肘に負担のかからないフォーム」への改善を目指します。外側型の離断性骨軟骨炎などで、保存療法での治癒が難しい場合は手術が必要になることもあります。
肘の不調は、放っておくと指先のしびれや握力の低下を招き、日常生活やスポーツに大きな支障をきたす恐れがあります。「使いすぎただけ」と我慢せず、まずは整形外科専門医にご相談ください。最新の知見に基づいたリハビリと治療で、皆様の健やかな毎日をサポートいたします。
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