骨粗鬆症の治療
- 2023年3月22日
- 骨粗鬆症
今回は骨粗鬆症の治療について説明していこうと思います。
このブログの初回に骨粗鬆症とはどうゆうものかを説明させて頂きました。
骨粗鬆症の治療は様々ありますが、どういった治療が効果的なのかどうゆう時にどの薬を使いのかを解説できればと思います。
~基本治療~
骨粗鬆症は加齢だけでなく、ステロイドの長期使用や婦人科疾患によるもの・痩せすぎなどの原因で起こります。
治療の基本としては食事・運動・日光が最重要です。
食事はカルシウムを多く含む乳製品や小魚などを摂ることが大事です。
ほかにはリンや食塩の摂りすぎはカルシウムを尿として排泄してしまいます。
これらは添加物の多い食品や清涼飲料水の摂りすぎるとおこりますので気をつけましょう。
運動について特に重要なことは下半身の筋力です。特にお尻周りや太ももの筋力を鍛えるようにしましょう。この部分の筋力があれば骨密度を高めるだけでなく、転倒時のクッションの役割にもなり直接的な骨折予防にもつながります。
最後に日光についてです。
日光を浴びることでビタミンDが活性化されます。活性化されたビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を促進してくれます。
紫外線の問題はありますが、適度に太陽の下で散歩や運動をすることで丈夫な骨を作りましょう。
~薬物治療~
骨は常に新陳代謝を繰り返しています。
古くなった骨や壊され、新しい骨が作られています。1年間で20~30%の骨が入れ替わっています。この代謝がうまくいかなくなって、壊される骨の量が作られる骨よりも多い状態が骨粗鬆症です。
この状態を改善するための薬物として
・骨形成促進薬
・骨吸収抑制薬
があります。
骨形成促進薬はテリボンやフォルテオといった注射の薬です。
1~2年間、連続で使用する薬ですが、一生のうちに1回しか使えませんので途中でやめてしまったり、使用経験があれば今後、使うことはできません。
骨折の治癒を促進させるといった報告が出てきており、骨折や手術後に骨を丈夫にさせたいときに使用されることが多いです。
骨吸収抑制薬は飲み薬としては月に一回(ボノテオ)のものや週に一回(アレンドロン酸)のものがあります。起床時に飲んで30分間は横になれないといった特徴のある薬です。
また、月に一回や半年に一回の注射の薬(ボンビバ・プラリア)もあります。
骨形成促進・骨吸収抑制の両方の作用を有する薬(イベニティー)もあります。
月に一回の注射の薬であり、1年間連続で使用します。上記のテリボンやフォルテオと違い、期間を開ければ再度使用できますので時期を選ばず使えます。
骨の代謝を正常化したとしても骨のもとになるカルシウムが足らないと骨が作れません。カルシウムを補う薬としては飲み薬と週に一回の注射の薬(エルカトニン)があります。
また、カルシウムを吸収するためのビタミンDを補うことで体の中のカルシウムを増やす薬(エディロール・アルファロール)もあります。
女性の場合は閉経に伴い、ホルモンのバランスが変わります。女性ホルモンは骨を作るのに重要な役割をしており、閉経後に骨粗鬆症が進行してしまうことがあります。このような場合はSERMと呼ばれる薬(エビスタ・ビビアント)があります。
~使い分け~
骨密度だけでなく、採血でのカルシウム値や骨代謝マーカー、ビタミンD値などを指標に最も適した薬を提案しています。数値によって治療方法を選択しますので一概には言えませんが、総論的な考え方を書いてみたいと思います。
イベニティーは最も効果が強いですが、費用も高いです。骨折のリスクが高い患者さんにお勧めしています。
テリボンは一生のうちに1回しか使えませんので、骨折後や手術後に使用することが多いです。
ボノテオは注射が苦手な方や骨粗鬆症の程度が中程度の方に使用しています。歯科治療中の場合は中止せざる負えない場合があります。また、3年以上連続で使用すると非定型骨折のリスクがありますので変更を考えます。
エビスタやビビアントは閉経後であったり、ボノテオが使用できない期間を補うのに使用します。
エディロールは副作用が少なく、使用しやすいので初期治療からほかの薬と併用して使います。
骨粗鬆症の治療は薬をやめてしまうとせっかく高まった骨密度が低下してしまうことが報告されています。
治療は長期に及びます。そのためにも慌ててゆわれたままに治療するのではなく、骨粗鬆症の治療について理解してから始めるのが大切だと思います。
わからないことはしっかりと説明できるように心がけてまいりますので、これからもよろしくお願いします。
それではまた。