関節リウマチ
- 2022年6月29日
- 関節リウマチ
皆さんこんにちは。
今回は関節リウマチについてのお話です。
昔はリウマチといえば関節の変形が進み、なかなか治らない病気でした。
しかし、現在では早期発見と適切な治療により変形をコントロールできる時代となってきました。ではリウマチとは何なのかお話していきたいと思います。
~どうなるの?~
典型的な症状としては朝起きた時に両手のこわばりを感じたり、両方の手や足の関節が腫れて痛みを感じます。両方に対対称的に起こる手足の関節炎が特徴ですが、膝や肘、肩や股関節などの大きい関節にも関節炎が広がります。進行すると痛みや変形のために日常生活に支障をきたすようになります。
20歳代から50歳代に多く起こりますが、高齢になってから発症する場合もあります。
症状が手や足にとどまる軽傷型から全身の関節に広がる重症型まで症状は様々です。
関節炎のほかにも微熱や倦怠感、貧血などの全身症状を伴うこともあります。
~何が起こってるの?~
明確な原因は不明です。何らかの原因で免疫系に異常がおきます。自分の組織を自分のものでないと間違って判断してしまい、攻撃してしまう状態になります。
細かい話になりますが、関節の中には滑膜という組織があります。滑膜は関節液を作ったり、異物を排除するような役割をしていますが、この滑膜が異常増殖して関節を破壊してしまします。そして、免疫に重要なリンパ系組織に異常がおきて、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が関節を壊すことがわかっています。
遺伝性はありませんが、この病気にかかりやすい遺伝的な要素はあります。
また、風やけがの後に発症することも多く、最近は喫煙も関与していると報告されています。
~どんな検査をするの?~
腫脹や疼痛のある関節の部位と数、採血の結果、痛みのある期間によって分類する基準があり、基準を満たすと関節リウマチと診断します。
他に原因がないか調べるためにレントゲン検査でリウマチ以外に関節の痛みになりうる変形や病気がないかも調べます。
痛みの部位にエコーを当てて関節の炎症を診ることで、関節炎の程度や薬の効き具合を判断することもあります。
原因不明であるためこれがあればリウマチといった決め手になる検査はありませんので、診断基準に照らし合わせて判断することになります。
痛みが出てからの期間も判断基準になるので痛みが出始めたばかりの頃は診断がつかないこともありますが、早期発見が大事なので些細な痛みも見逃さずに診察を心がけています。
~どうやったらなおるの?~
治療の中心となるのは抗リウマチ薬になります。そして、炎症を抑えるためのロキソニンやステロイドも用います。
しかしながら、抗リウマチ薬では効果が乏しい時や薬が合わないこともあり、そのような場合は別の抗リウマチ薬や免疫抑制剤、生物学的製剤を使用することがあります。
特にメトトレキサートの間欠投与(週1~2回内服)が最も効果が高く、基本的な治療法となっています。
治療効果は数か月単位で評価し、効果を見ながら薬剤の変更を検討していきます。また、葉酸欠乏や間質性肺炎、感染症の発症などのさまざまな副作用の可能性がありますので、副作用が起こっていないかのチェックも必要です。
関節痛は薬だけでなく、温熱療法や運動療法によるリハビリテーションで緩和することもあります。筋力を強化し、関節可動域を維持することで日常生活を送りやすくすることの大切です。
それでも、関節の破壊が進行していくこともあります。関節破壊が進行した場合は手術療法を選択することになります。関節の変形に関しては人工関節や関節固定術、滑膜の増殖には関節鏡を用いた滑膜切除術などの様々な手術方法があります。
当院では手術はできないので、手術が必要となった場合は当院でのすべてのデータをお渡しし、近隣の連携している病院に手術を依頼させていただいています。
リウマチは全身にかかわる病気であり、なかなか治らないため精神的にもつらい病気だと思います。いろいろな感情の中、安心して治療を任せて頂けるように最新の医療情報、論文検索を行いながら日々、勉強が必要と感じています。
当院では診断から薬物治療、リハビリテーションまで対応しておりますので、リウマチの心配があれば相談して頂ければ幸いです。
それでは、また来週。