腰部脊柱管狭窄症
- 2022年6月22日
- 腰部脊柱管狭窄症
皆さんこんにちは。
今回は腰部脊柱管狭窄症についてのお話です。
名前の通り、腰の脊柱管が狭窄する病気です。
それでは皆さんの疑問が少しでも解決するようにどのような病気なのか解説していきますね。
~どうなるの?~
この病気では長い距離を続けて歩くことができなくなります。歩いていると太ももから足にかけての痛みが出て、休憩が必要になります。休憩すると痛みは落ち着いてきてまた歩けます。このように歩行と休憩を繰り返す歩き方を間欠跛行と呼び、この病気に特徴的な症状です。
腰部脊柱管狭窄症ではあまり腰痛は強くなく、安静にしているときはほとんど痛みはありませんが、背筋を伸ばして立ったり、歩いたりすると太ももや膝から下にしびれや痛みが出現してきます。しかし、少し前かがみになったり、腰をかけたりするとしびれや痛みは軽減されます。病気が進行すると、足の筋力が落ちたり、肛門周囲のほてりや尿の出が悪くなったり、尿が漏れるようなことも起こります。
~何が起こってるの?~
脊柱管は背骨・椎間板・関節・靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。年を取ると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、靱帯が分厚くなって神経の通る脊柱管を狭くしてしまいます。それにより神経が圧迫を受けて、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。椎間板ヘルニアもこの腰部脊柱管狭窄症の原因のひとつとなり、椎間板ヘルニアに比べて中高年に起こることが多いです。
~何でなるの?~
原因は加齢や労働状況、背骨の病気、側弯などが影響します。背骨に負担がかかると椎間板が変形したり、ヘルニアになったりします。また、関節が変形し骨が飛び出したり、靱帯が必要以上に分厚くなります。この変形した椎間板、飛び出した骨、分厚くなった靱帯のせいで神経が圧迫されてしまいます。
~どんな検査をするの?~
まずは背中を反らせて足に痛みが出るか調べます。また、足の筋力が落ちていないかや異常な感覚がないか調べます。レントゲン検査では骨の形や関節の変形、椎間板のスペースが狭くなっていないか調べます。ここまでの検査である程度診断がつくことが多いですが、より詳しくどの程度神経の通り道が障害されているか調べるためにはMRI検査が必要になります。足の動脈が詰まって血行障害が起こっているときにもこの腰部脊柱管狭窄症と同じような痛みやしびれが出ることがあるので血管の検査を追加することもあります。
~どうやったらなおるの?~
神経の圧迫は腰をまっすぐに伸ばして立つと強くなり、前かがみにすると和らぎますので歩くときには杖を使ったり、シルバーカーを押して腰を少しかがめるようにしましょう。また、自転車での移動も痛みが起こりにくく、良い運動になります。
リハビリテーションにより足や体幹の筋力を鍛え、腰に負担がかからないようにします。股関節周りや背中の筋肉が固いと腰に負担がかかってしまうので筋肉の柔軟運動も重要です。
薬は神経の血行を良くするものと神経の痛みによく効く薬を使います。眠気や吐き気などの副作用が出る方もいらっしゃいますので少ない量から徐々に増やしていくようにします。
しかしながら、足の筋力が低下したり、痛みが改善しないときは手術をお勧めすることがあります。
手術が必要となったときは近所や希望の場所に紹介状を書いて、当院でのデータをすべてお渡ししますので、気兼ねなく相談してください。
腰部脊柱管狭窄症は非常に多い病気です。いつまでも歩けるように過ごすためには腰に負担をかけないような筋肉のしなやかさ、関節の柔らかさを身に着ける必要があります。
進行を抑えるためにはリハビリがもっとも重要になります。
そして、続けることが大事です。
狭くなったところを広げるには手術しかありませんが、筋力がないと手術しても思うように歩けないことがあります。
続けられる運動・体操は人によって違いますので、リハビリを通じて話し合いながら治療を進めていければと思っています。
それでは、また来週。