投球障害~肩編~
- 2023年3月1日
- 投球障害~肩~
皆さんこんにちは。
今回はもうすぐWBCが始まるとゆうことで野球にまつわることをテーマにしてみます。
まずは肩について書いてみます。
野球に限らず投球動作を必要とする競技は肩を痛めてしまうことがあります。その原因や対処方法について説明します。
~投球動作の基本~
ボールを投げるときの動作を細かくみると6つの時期に分けて考えます。
- 振りかぶり動作(wind up期)
- 片足を上げた時(early cocking期)
- 片足をおろした時(late cocking期)
- 重心を前に移動させボールを離すまでの時(acceleration期)
- ボールを離して後ろの足があがるまでの時(deceleration期)
- 動きを終えるまでの時(follow through期)
ここに使えそうな写真がないので文字で書いてみましたが、難しいですね。
投球動作を開始してから動きを止めるまでをこのように分けて考えることでどの瞬間にどこに負担がかかっているのかがわかります。
1~3までは重心が後ろにかかっており、この時期には肩の前側に負担がかかります。
3~5までの重心移動してボールを離すまでは前側から上・後ろに負担がかかります。
最後のフォロースルーの時は後方に負担がかかります。
どの時期にどこに負担がかかっているかを知ることはケガ予防を考えるときに重要になってきます。
投球過多やフォーム不良、下肢や体幹・肩甲骨・胸の筋肉が硬かったり、バランスが悪いことなどにより肩関節に負担が加わります。負担が加わると肩の前方が緩んだり、後方が硬くなることで肩を動かすために必要な腱板や関節の周りにある関節唇を損傷したり、周囲に炎症を起こすことで投球障害が出現します。
~診断は~
まずは問診で普段どの程度投げているのか・ポジション・スポーツ頻度・痛みの出る動作等を聞きます。そして、肩の動作テストを行い、どの部位に損傷があるのかを確認します。
レントゲン検査では軟骨や腱板のスペースに問題はないかや骨の変形はないかを確認します。成長期の子供の場合は骨端線とゆう骨が伸びる場所があり、ここの損傷がないかをみます。成長期にこの骨端線に負担がかかってしまうと離開してしまい、損傷してしまった状態をリトルリーグ肩と呼びます。
レントゲンでは腱板や関節唇は写りませんので、MRI検査で関節唇や腱板などの組織が痛んでいないかをみます。
また、投球フォームや下半身・体幹などのほかの場所も含めて診察することでなぜ損傷してしまったのかを全体的に評価する必要があります。
~治療~
まずは投球制限により損傷部位を安静に保ちます。フォームのチェックを理学療法士の下で行い、全身のコンディショニングを整えます。
肩関節に対してはストレッチによる拘縮の軽減、肩甲骨の可動性の回復を図り、腱板の強化訓練を行います。
ストレッチは痛みが強くなるようなら控えたほうがいいですが、肩だけでなく股関節や体幹、胸郭などのストレッチも非常に重要です。
痛みが強いときは注射をすることもあります。
それでも痛みが改善しない場合や損傷のタイプによっては手術を選択する場合があります。
肩関節のバランスを再構築し安定した円滑な動きを獲得できるようリハビリテーションを行っていきます。
投げすぎは肩を壊してしまう元になります。
学会では青少年の野球障害に対する提言として練習日数と時間、全力投球数を定めています。
小学生:練習は週3日以内、1日2時間を超えない。全力投球数1日50球以内で試合を含め週200球以下
中学生:練習は週1日の休養を設けて力量の応じた練習量。1日70球以内、週350球以下
高校生:練習は週1日の休養を設けて力量の応じた練習量。1日100球以内、週500球以下
投げることだけでなく体幹・下肢の筋力トレーニングや柔軟性向上、バランス強化などが必要です。
わからないことはなんでもお答えしますので、困ったことがあれば当院にお越しください。
それではまた来週。