手根管症候群
- 2022年11月16日
- 手根管症候群
今回は手根管症候群です。
手のしびれ・痛みは日常生活を非常に不便なものにしてしまいます。
手のしびれで来院される方は最近増えてきており、症状も長引く傾向にあります。
しびれの原因の中でも手首の神経の通り道が狭くなる手根管症候群について説明していきます。
~症状~
手首の真ん中を通る神経を正中神経といいます。正中神経は手首の真ん中を通り手のひらの中でも親指から薬指までを支配しています。この神経が手首で狭くなってしまうことで人差し指や中指を中心に痛みやしびれが出ます。子のしびれは明け方に強くなり、手を振ることで楽になります。
親指の付け根がやせてきて、縫物やボタンかけなどの細かい作業が困難となります。
更に進行すると、OKのサインができにくくなります。
~原因~
正中神経が手首を通るときは靱帯の下をくぐりぬけています。この靱帯の下には指につながるたくさんの腱も通り抜けています。
この手首の部分で神経の通り道が狭くなることで正中神経が圧迫されしびれが出ます。
一緒に通り抜ける腱が炎症を起こしたり、交通事故などで手首を骨折したり、手関節が変形することで神経の通り道が狭くなります。
圧倒的に女性に多く、妊娠や閉経によって引き起こされることもあります。
このような女性ホルモンに影響する原因までは分かっていませんが、最近は大豆イソフラボンなどとの関連に注目されています。
~診断方法~
手首をたたくとしびれ・痛みが指先に響きます。また、手首を曲げた状態で5秒ぐらいたつといつもしびれるところの症状が強くなります。
首が原因で手のしびれが出ていることもあるのでレントゲン検査で首や手首を確認し、どちらが原因になっているのか調べることもあります。
神経は狭くなると伝達が悪くなるので神経伝導速度を計測して診断に用いることもあります。
~治療~
まずは手の使い過ぎを控えることです。とはいっても家事や育児・仕事の都合上手を使う場面を控えることは難しい場合が多いですね。
そのようなときはサポーターをつけて、手首に負担がかからないようにします。
そして、指につながる腱は手首から肘にかけての部分で筋肉に変わります。この筋肉をマッサージしたり、ストレッチすることで腱の炎症を抑えて症状緩和を促す方法もあります。
ビタミンB12不足でもしびれが増悪しますので、薬として補うこともあります。
それでも症状がなかなか取れないときや日常生活に困るときはブロック注射をして炎症を直接的に抑える方法もあります。
しかしながら、圧迫が強く治りが悪いときは手術が必要になることもあります。
手術は圧迫している原因の靱帯を切って圧迫を解除してあげます。
手のしびれは治りが悪く、イライラの原因になります。
手術は即効性がありますが、バイ菌感染等のリスクもあるためできれば避けたいですね。そのためにもサポーターや薬、リハビリなどをうまく治療に取り入れることで手術せずに済むような治療を当院では目指しています。
治療方法は一つではありませんので、皆さんの生活や仕事に合わせて可能な方法を一緒に考えていきたいと思います。
それではまた来週。