大腿骨頭壊死
- 2022年8月24日
- 大腿骨頭壊死
皆さんこんにちは。
今回は大腿骨頭壊死についてのお話です。
壊死と病名がつくと骨が死んでしまうようで怖くなるような名前になってますが、手術や治療方法も進化していますので正しい知識を持って冷静に治療していくことが大切と思います。
~どうなるの~
大腿骨の骨頭とは股関節にあります。股関節は骨盤と大腿骨の骨頭でできており、骨頭は丸い形をしています。また、体重を支える大切な関節です。この大腿骨の丸い部分が一部壊死してしまう病気が大腿骨頭壊死です。壊死とは骨の強度がなくなり、つぶれてしまうことを指します。
ちょっとしたはずみで急に足の付け根が痛くなりますが、2~3週間ほどで痛みが落ち着くことがあります。しかしながら、痛みを我慢して放置していると壊死の範囲が徐々に拡大したり、骨がつぶれて丸の形を保てなくなります。進行してしまうと痛みで歩けなくなってしまいます。
~何でなるの?~
原因ははっきりとはわかっていません。お酒をたくさん飲む人やほかの病気でステロイドの薬を飲んでいる人に多い病気です。何らかの原因で骨頭の血の巡りが悪くなり、骨の細胞が死んでしまいます。死んだ骨の細胞はだんだんとつぶれて骨頭の丸みを保てなくなります。
~どんな検査をするの?~
レントゲン検査で骨頭の形がつぶれていないか確認します。初期にはつぶれる前に特徴的な壊死部分が白くなる変化がみられることもあります。レントゲンで骨頭壊死を疑う場合はMRIをとります。MRIでは骨頭がつぶれる前の変化もわかるので早期発見のためには非常に有用です。
~どうしたらいいの?~
まずは体重コントロールやお尻の筋力トレーニングを行い、股関節に負担がかからないようにします。杖を使ったり、段差などで踏み外さないように注意を要します。
しかしながら、壊死は自然に治ることはありません。適切な時期に手術を行う必要があります。
手術は大腿骨を切って回転させ壊死部分に体重がかからないようにする骨切り術と人工関節に置き換える人工股関節置換術があります。
変形が少なければまずは骨切り術を選択します。しかしながら、壊死の範囲が大きくなり、回転させても壊死部分に体重がかかってしまうほどの変形があれば人工関節が必要になります。
人工関節はだいぶ進歩しており、20年以内にやり直しが必要な場合は10%程度とされています。
当院では診断やリハビリに関して治療させていただき、手術が必要な場合は合志病院や尼崎医療センター、関西労災病院などの近隣病院にお願いさせていただいております。
股関節の痛みは少し我慢すればいったん収まり、そのまま放置されてしまうことがあるので痛みが出れば我慢せずに早めに受診して頂き、早めから診断治療することで生涯自分の足で歩けるようになると思います。
それではまた来週。