五十肩
- 2022年6月1日
- 五十肩
皆さんこんにちは。
第5回は五十肩についてのお話です。
五十肩とは「肩関節周囲炎」という病名があります。
50歳代の病気と思われがちですが、成人であればどの年齢にでも起こるものです。
50歳前後で起こることが多かったので昔の偉い先生がなずけたのですが、ニックネームのようなものですね。
外来で話すときは年齢を言われたくない人も増えてきてると思うので、正式名称の肩関節周囲炎のほうが説明しやすいなぁと感じています。
~どうなるの?~
肩を動かすときに痛みが出ます。夜の寝返りや態勢によってズキズキ痛み、不眠を訴える方もいます。寝ているときは痛い肩を上にして少し曲げると痛みは楽になります。髪を結んだり、服を着替えることが難しくなります。
時間がたてば痛みは落ち着いてきますが、痛くて動かしていないと肩の関節が固まって腕が上がらなくなることがあります。
肩は色んな方向に動くので動きが悪くなると、非常に困るので早めに来院してくださいね。
~何が起こってるの?~
肩の関節は上腕骨・肩甲骨・鎖骨の3つの骨でできています。その間に4つの筋肉が集まってできた腱板があり、その腱板の動くことで肩が動きます。腱板を動きやすくするために滑液包とゆう潤滑油の役割をする袋があります。この袋などが炎症を起こすことで痛みが起こります。炎症は1か月ほどでよくなることが多いですが、潤滑油の袋が腱板などにくっついてしまって潤滑油の役割を果たせなくなると肩が上がらないようになってしまいます。
~どんな検査をするの?~
肩が急に痛くなる病気はほかにも石灰沈着性腱炎や腱板断裂、上腕二頭筋腱損傷などがあります。これらと鑑別するために痛みの部位やどの動きが痛いのかをしらべます。
レントゲンでは変形や石灰沈着がないかなどを調べます。ほかの病気の可能性がなければ診断がつきますが、腱板損傷などの可能性があればMRIをとることがあります。
~どうやったらなおるの?~
痛みが強いときと痛みが治まってきた時では治療方法が変わっていきます。
急性期は安静にし、痛みを取り除くことを中心にします。三角巾で安静にし、痛み止めや注射で痛みを抑えます。少し経つと痛みが和らいできます。和らいできたら温熱療法や低周波治療などで筋肉をほぐし、腕を振る運動や肩周囲のストレッチを行い、後遺症を残さないようにリハビリテーションを行っていきます。
痛みが和らいだ時に、もう治ったと思って放置していると腕が上がらなくなることがあるのでこの病気はリハビリが非常に重要と感じています。
もし腕が上がらなくなってきたら、さらに専門的な理学療法士によるリハビリテーション
が必要になります。無理に動かすと腱板が切れて損傷したりすることがあるので、理学療法士によるリハビリで慎重に動かしていくことがいいと思います。
それでも治りが悪いときは注射で直接くっついてしまった所に液体を入れて広げる方法が必要になることがあります。
肩は動きが悪くなると生活にすごく影響しますよね。
治るまでも時間がかかるのでいつになったら治るのかとよく聞かれることがあります。
リハビリと注射をうまく組み合わせて、患者さんの希望に合わせて治療するようにしています。急ぐときは積極的に注射での治療を行いますし、注射が苦手な方にはリハビリを中心にして進展が乏しいときに注射を行うようにしています。
低周波や温熱療法、ストレッチ機器など選択肢はほかにもありますので、ストレスを少しでも減らしながら治療できるように頑張ります。