交通事故後のむち打ち
- 2023年3月29日
- 交通事故後のむち打ち
今回はむちうちのお話です。
むちうちで思い浮かぶのは交通事故があると思います。病名でゆうと頸椎捻挫とゆう診断になります。頸椎捻挫はむち打ち以外にも寝違えやスポーツでのケガによっておこります。今回は交通事故によるむち打ちを中心に、頸椎捻挫について考えてみたいと思います。
~原因~
交通事故では最も多いのがこのむち打ちです。車同士の追突事故やバイクでの転倒時などで頭が急に振られてしまい首に負担がかかって痛みがでます。
スポーツでも同様に頭が揺さぶられるようなラグビーや柔道などのコンタクトスポーツに多く起こります。
首の形は人によって異なるため、首の骨の並び方や筋肉の付き方、柔軟性などによって症状が強く出たり、治りが悪かったりすることがあります。
そのためにも、むち打ちは放置せずに整形外科を受診するようにしましょう。
~症状~
症状としては頭のつけねから首、背中にかけての筋肉が凝ったような、非常に嫌な痛みや違和感があります。首の後ろから肩甲骨の上・内側には僧帽筋や棘上筋など多数の筋肉が折り重なり周囲の肩甲骨や背骨にくっついています。
交通事故による外傷が加わるとこの筋肉がダメージを負います。首は常に頭を支える役割がありますので、筋肉を休ませることが難しい所です。そのため、受傷時はあまりいたくなくても、首に受けたダメージに加えて頭の重みを常に支えなければならず、受傷直後よりも翌日に痛みがでることが多いです。また、腕のしびれや吐き気を伴うこともあります。
~診断方法~
首には頸椎と呼ばれる骨とその中に脊髄が通ります。交通事故後のむちうちでは首の筋肉の痛みが中心ですが、骨や脊髄に損傷がある場合は急いで治療が必要なこともあるのでまずは骨や脊髄に損傷がないかを診ます。
脊髄に損傷があれば腕や手がしびれたり、力が入らなくなる場合があります。
骨に損傷があれば痛みが強くでます。患者さんはむち打ちと思って来院された中にもたまに骨折を伴っていることがあります。
特に見落としがちなものとして歯突起骨折があります。
首は7つの頸椎があるのですが、上から2番目の頸椎は牙のような形をしており、この部分を歯突起と呼びます。
この歯突起が骨折することがあります。この骨折を見落としがちな理由としては痛み以外の症状がないこと・時間がたてばある程度動かせるようになることがあること・レントゲンで骨折が見つけづらいことが挙げられます。
まずはこの歯突起部分を押してみて痛みがでないか確認します。
続いてレントゲン検査で骨折がないか、頸椎周囲の軟部組織が腫れていないかなどを調べます。ストレートネックや変形があると症状が長引くことがありますので、元々の変形の有無も確認しておきます。
しびれを伴う時や骨折が疑われるときはCT・MRIなどで精密検査をします。
~治療~
首についている筋肉は安静にすることが難しいですが、痛みが強いときは首を固定するためのカラーを使う場合があります。炎症が痛みの原因である交通事故後の1週間程度に使用しますが、固定期間が長いと筋肉が硬くなり、硬さのせいで痛みにつながりますので長期で使うことはありません。
炎症の時期が過ぎると肩甲骨や首を適度に動かしストレッチをしていきます。
筋肉の緊張を取ることが頸椎捻挫の治療で最も重要なところになります。当院では理学療法士が直接、筋肉の硬さを評価しストレッチの方法をアドバイスします。これを理学療法士による運動療法といいます。
しかしながら、運動療法に即効性はなく、今の痛みを和らげるためには薬やシップをうまく使います。それでも痛みが引かないときはブロック注射や温熱療法があります。
その時の痛みに合わせて薬の量を調整したり、マッサージやリハビリ機器を用いて筋肉をほぐしてあげて痛みを改善できます。
元々の頸椎の形や筋肉の固さ、交通事故による精神的な不安定性、仕事や普段の姿勢なども治療期間に影響します。交通事故は突然に起こり、精神的なショックやストレスを受けてしまいます。心を安定させて、日常生活にも痛みの原因を取り除いていくことも重要になります。このような部分は診察だけでは解決しないのでリハビリテーションを通じて理学療法士によって細かな評価を行い、自宅でのトレーニング方法を指導させて頂きます。
適切な筋肉の動かし方を覚え、自発的に動かしていくことで柔軟性が高まり肩甲骨や首の動きが改善します。この動きを改善することで痛みを原因から取り除き、薬などがなくても痛くない状態を目指します。
交通事故後のむち打ちは後遺症の原因としても非常に多い怪我です。
初期の段階から適切なリハビリを行い、後遺症を残さないようにあきらめずに治療できるような環境を作っていきたいと思います。
それではまた来週。