頸椎椎間板ヘルニア
- 2022年6月8日
- 頸椎椎間板ヘルニア
皆さんこんにちは。
第6回は首のヘルニアについてのお話です。
首の骨は頸椎といいます。以前に腰のヘルニアのお話をアップしましたが、首にもヘルニアが起きることがあります。正式には頸椎椎間板ヘルニアと名前がついています。
どんな症状が出て、どのように治療するのか書いていこうと思います。
~どうなるの?~
首から腕、指先にかけてしびれが走ります。箸が使いずらくなったり、ボタンがかけづらくなったりします。症状が進むと足がもつれたり、歩くことが難しくなります。
まれに尿が出しづらくなったり。狭心症に似たような胸痛が見られることがあります。
~何が起こってるの?~
椎間板は背骨と背骨の間にあり、クッションの役割をしています。
その一部が飛び出してきて炎症を起こします。出てきた椎間板が直接神経を圧迫したり、炎症が波及して周囲が腫れることで神経を圧迫します。
圧迫された神経が支配している部分に痛みが出現します。
~何でなるの?~
椎間板に圧力が加わって断裂を起こすことで本来の場所から飛び出します。
30~50歳代に多く起こり、しばしば誘因なく発症します。
デスクワークや重労働、スポーツでの繰り返す圧力のため椎間板が変性し、弱くなります。
弱くなった椎間板へ更に負担がかかると椎間板が後ろに飛び出して神経を圧迫します。この状態になるとしびれなどの症状が出現します。
~どんな検査をするの?~
首を斜め上に反らせると腕にしびれや痛みが出ます。
腕や足の筋力、感覚を調べてどのような神経の症状が出ているのかを診ます。
腱反射の異常や特別な反射が出ないかも調べます。
画像検査ではまずレントゲン検査で骨の形や椎間板の隙間の状態をみます。椎間板の隙間が狭いときは椎間板ヘルニアを疑います。
次にMRIでの精密検査をします。当院にはMRI検査ができないので合志病院などでMRI検査をして頂きます。
~MRIみればすべてわかるのではないの~
MRI検査では神経がどのように圧迫されているのか、腫瘍や膿がないかなど非常に多くのことがわかります。
しかしながら、首のヘルニアで起こるようなしびれや症状は肩やひじ、手首の神経が圧迫されている場合でも起こります。
つまり、MRIで神経の通り道が狭いところがあっても実は首が悪いのではなく、肩やひじ、手首に原因があったりすることがあります。
まずは原因が本当に首なのか確認するために様々なテストをする必要があります。
また、MRIは寝て撮りますが、レントゲンは首をそらせて撮ったり、下を向いて撮ったりすることで本当に痛い姿勢でどのような形になっているのか見ることができます。
色々な方法で検査したほうがより確実な診断ができますが、余計な検査はみんなしたくないと思いますのでしっかり狙いを絞った検査方法を心がけていきますね。
~どうやったらなおるの?~
痛みが強い時期には、首の安静が重要です。首は常に頭の重さを支えています。この重さを
首に巻くようなカラー装具をつけて、首に負担をかけないようにします。
また、炎症が波及して痛みが出ているときは炎症を抑える効果のある消炎鎮痛薬(ロキソニンなど)や神経の痛みによく効く薬(リリカ・タリージェなど)を使います。
激痛が取れてきたが、痛みは続いているときはリハビリを開始します。
リハビリで椎間板に負担のかからないような動きや周囲の筋力を和らげることで痛みを改善します。痛みで変な動きをしているとほかの所まで痛みが出てくることがあるのでリハビリはとても大事です。
腕の筋力が低下したり、痛みが改善しないときは手術をお勧めすることがあります。
手術が必要となったときは近所や希望の場所に紹介状を書いて、当院でのデータをすべてお渡ししますので、気兼ねなく相談してください。
パソコンやスマホを使う時間が長くなった最近ではこの首のヘルニアが増えてきているような気がしています。
首だけでなく背骨全体の姿勢を意識して、ストレッチすることが重要です。
毎日の仕事終わりに少しストレッチする習慣をつけて、痛みが出ないような体にしていきましょう。